1. 散骨
  2. ルール&マナー
  3. トラブル

実際にあった散骨のトラブル事例と解決策

口論する二人

主な散骨時におけるトラブルは家族や親族間で揉める「遺族トラブル」と、葬儀会社やお寺などと揉める「業者トラブル」の2種類に分けられます。葬儀会社が運営するサイトでは葬儀会社のトラブルは掲載されていません。

また、テレビやネットニュース等ではお寺とのトラブルが大げさに報道されていますが、実際は遺族間トラブルの方が圧倒的に多いです。

ここでは消費者目線で、実際にあった事例を基にどんなトラブルが起きているのかご紹介いたしますので参考にしてください。

記事更新:

目次 -short cut-

散骨トラブルNEWS

2023/11/25 - 事務所や支店としてGoogleマップなどに掲載しているものの、実際は営業活動を行っていない支店詐欺を複数社確認。(東京・埼玉)
2023/08/24 - 散骨依頼の際、粉骨は無料とあったので依頼したが、少量分骨を希望したところ嫌がらせを受け、粉骨証明書や散骨証明書の発行もしてもらえなかった。(神奈川)
2023/03/31 - 営業を許可していない一般アパートの一室で粉骨。実際には利用していない利用者の画像をお客様の声として多数表示している業者を確認。(埼玉)
2022/07/19 - やりとりをしていた散骨会社が、ある日突然電話をかけて繋がらずに音信不通になったというお客様からの報告が多発。(東京) →事業撤退
2022/02/12 - 拠点は1ヶ所で1名で運営しているのに、バーチャルオフィスなどを使って、あたかも従業員が何名もいるような表現や複数のHPを作って集客している。(大阪)

よくある遺族間のトラブル

お墓に執着する親族と揉めてしまう

実は最も多いトラブルは親族間によるトラブルです。

高度成長期からバブル時代まで続いたお墓ブームの時にお墓を建てた高齢者の中には「マイホーム、クラウン、お墓を揃えたら一人前」という価値観を持った方が多く、せっかく生前からお墓を購入しているのになぜお墓を使わないんだ!と無理強いしてくる親戚が多いのです。

そういった親族が「散骨だと成仏できない」とか「ご先祖様に申し訳ない」等あれこれ理由をつけて揉めるケースが本当に目立ちます。

決裂する二人

解決策として

事後報告で深刻なトラブルに発展するケースがよくありますので、散骨を決定する前に「どうして散骨にする必要があるのか?」という理由を根気よく説明し、事前に了承を得てから散骨をすると良いでしょう。

世の中は少子化が急速に進んでニュース等でも話題になっており、世論に後押しされる形でお墓を建てない選択に理解を深める高齢者が急増中ですので説得も楽になってきています。

また、散骨することに対する理解も年々深まってきており、以前であれば「せめて世話になった菩提寺に永代供養しろ」といった事を言い出す親族がましたが、高額な永代供養料に驚いて安価で済む散骨を採用する方も増えています。

そんな方々にきれいな海の写真を見せると「いいなぁ~自分も散骨にしようかな♪」と言う方も多くなってきました。

とにもかくにも「散骨するから!」ではなくて、「継承者が居なくなるので散骨したいのだけど、どうかな?」とやんわりと意見を聞きながら伝えることが良いと思います。

時代の流れで「仕方ないね」という感じですんなり話が進むことが多いと思います。

継承者のいない墓じまいの手順



遺骨を全部撒いてトラブルになってしまった

これは筆者である私のことなんですが、父の遺骨を全て散骨したら「何で全部撒いてしまうんだ!」と叔母にもの凄い剣幕で怒られてしまいました。

要するに少しくらいは手元に残して供養したかったということのようです。

同じような経験をされた方も結構多いので、散骨する際は親族の方に「少し残しておく?」と各自に確認をとってから散骨されることをお勧めします。

確認が取れないときは念のために少しだけ粉末状で残しておくと良いと思います。

遺骨ペンダントに少しとか、スプーン一杯20gとかそれくらいで良いと思います。

残しておけばトラブルになりませんし、要らないと言われたら少しなので散骨も容易です。

喉仏のままや、ダイヤモンドやセラミックを練り込んで加工したりすると、後々処分に困りますのでお勧めはしてません。

粉状であればご自身と一緒に棺に入れられますし、ご自身でそっとどこかに散骨することもできますので本当に安心できます。

散骨後の供養法

海洋散骨業者とのトラブル

旅行業の資格がない仲介業者に注意

個人や小さな会社なのに「全国どこでも散骨できます」みたいな内容が掲載してあり、どうやって運営しているのだろう?と思った方もいると思います。

自社船を持たずに乗船散骨(お客様が一緒に乗る散骨)の手配を行っている場合、内容によっては手配旅行に該当し有資格者がいない場合、旅行業法違反に抵触する可能性があります

中には有資格者から名義を借りてるだけの業者もありますが、これも違法になります。

「そんな業者はいないだろ?」と思うかも知れませんが、散骨業界自体の歴史が浅く、知らないで営んでいる会社も多いのが実態です。

回避方法としてはホームページの会社概要欄などに旅行業の有資格者の在籍や届け出がしっかり明記されている事などを確認しましょう。

 

天候が合わず順延が続いて毎週末が台無しに

乗船型の散骨(遺族が一緒に船に乗る場合)は、遺族が土日などの週末に集まって実施されますが、雨や強風などで出港できずに順延だらけになってしまうトラブルが続出しています。

過去最悪の長梅雨だった2019年
ここ数年は天候の急変が多く、特に悲惨だったのが2019年。6月末に始まった梅雨が7月一杯まで続き、結局梅雨が明けたのが8月上旬という記録的な長梅雨で、4週連続延期という過去最悪の状況でした。

その後は晴れたものの台風直撃で順延だらけ・・・荒波の中無理矢理出港して遺族が吐いてしまった、やむなく他のお客さんと合同になったなど業者とのトラブルが増加しました。

こうした気象条件による順延は、業者にはどうすることもできないのですが、順延が続いた結果、業者が荒れた波の中を無理に出港したり、「天気が回復しそうなので明日行きましょう!」などと突然呼び出されるなど、無茶をし始める業者がいることが報告されています。

1日に3組も4組も予約を入れて、お客様の安全を無視して運行・・・いつか事故を起こすと思います。

2021年のGW強風高波の中、強行出港した散骨業者がいたらしく、合同散骨に同船したほとんどの遺族が船酔いしてしまい大変なことになった・・・というトラブルを確認しました。

 

実体が無い散骨代行業者が増加中

粉骨から散骨までを代行業者に委託するサービスもあります。

千葉市のまごころ粉骨®がNHKのクローズアップ現代で放送されたのをきっかけに、真似した個人や別業種からの参入が増え、こうした業者による粗悪な代行がトラブルを生んでいます。

具体例で言うと「安さに惹かれて電話をかけたら実際は全然安くなかった」「料金を振り込んだけど連絡が無い」「後から高額な手元供養品を勧められた」などです。

特に実体を隠している業者が多く、掲載住所はオフィスだけど実際はレンタルオフィス、山小屋、許可されていないアパートの一室などで粉骨しており、電話やメールで確認しようとすると恫喝してくる・・・など、とんでもない業者が多いことに驚かされます。

こういった業者は事業登録していないので廃棄物処理方法に問題があることが多く、ある日突然警察から電話がかかってきて「○○さんのご親族の方ですか?山中から骨壺が見つかりまして・・・」となるかもしれませんので注意が必要です。

借金返済の為なら何でもあり?
某散骨代行業者が雑木林での散骨代行を始めました。

少し怖いのでどんな方なのか調査してみたところ、会社を破産させた元経営者のご老人でした。この方は遺灰をアメリカに郵送したり法律に抵触するようなことをいくつかしている事実が判りました。怖い怖い
不法投棄

こうした悪質な業者の多くは純粋な検索結果に表示されないのでダミー会社をいくつも作って低価格を餌に広告で集客しています。

レビューやお客様からの手紙を偽装したりやりたい放題です。特にお客様満足度系には注意しましょう。

対策としては、Googleストリートビュー等できちんとお店ががあるか確認してから利用しましょう。

 

葬儀業者とのトラブル

葬儀業者とのトラブルの多くは料金トラブルです。

「最初の見積とと全然違う」とか「当日になって追加料金が発生した」等のトラブルが頻繁に発生しています。

葬儀業界全般の慣習として安さで釣って単価アップ!のようなものが根付いているので当然のように追加してきます。

最近では社会問題として取り上げられたこともあり、控えめになりましたがそれでも「30万と聞いたのに最終的には50万になった」という話は尽きません。

飛んでゆくお金

値段が高いというのはお客様側の価値観なので何とも言えない部分もあるのですが、こうしたトラブルを避けるためには葬儀の前にしっかり見積りをとり、追加料金が発生しないことを書面で貰っておく事をお勧めします。

少々面倒で葬儀社には嫌がられますが安心を担保できます。

お寺とのトラブル

最近は随分減りましたが数年前までは埋蔵してある遺骨を取り出したり、離檀(檀家をやめる)ことなど考えられなかったので、散骨すると言うと住職にもの凄い剣幕で怒られたり、不当な離檀料などを請求されてトラブルに発展してましたが、最近はあまり聞かなくなりました。

お寺としても継承者が途絶えて無縁墓になると困るので理解が進んだものと考えられます。

お坊さん

ですが一部の地域では相変わらず嫌がらせのように続いています。

よく聞くのは「永年世話になったのだからせめて菩提寺で永代供養(高額な)せよと説得される」や、「魂の入った遺骨を散骨したら仏様が泣くと説得される」と言った内容です。

お寺の懐事情も理解できますが、脅しのような説得はいかがなものかと思います。

ちなみにこうした離檀交渉は当事者同士の話し合いが原則ですが、解決しない場合は弁護士さんに相談しましょう。

弁護士さん経由だと書面1通であっさり解決することが多いので、初回相談料無料、着手金数万円で喜んで引き受けてくれます。

稀に石材店などが間に入ってお寺と離檀交渉してる方がいますが、その行為は非弁行為と言って弁護士法違反になります。

お寺と揉めないで散骨する方法

自分で散骨してトラブルになった例はほとんどない

幸いなことに個人の散骨がトラブルに発展してニュースなどになった事は一度もありません。

嘘のように思えますが本当です。

テレビのNEWS等でもこういった報道がされた記憶はないと思います。

もうこれは日本人の民度の高さだと思います。

厚生労働省より「節度をもって行う分にはおとがめなし」と言われておりますので、こういうところをキッチリ遵守するのはさすがだなと思います。今後もこの状態が続くことを祈ってます。

もちろん遺骨をそのまま散骨すればトラブルに発展しかねませんが、きちんと粉骨していれば問題になるような事はないのです。

散骨できる場所、できない場所

散骨トラブルまとめ

散骨時におけるトラブルは天候に関する事以外は予備知識があれば防げる事ばかりです。

特に親族間で揉めることが多いので、関係者が多い方は要注意です。逆に親族が少ない方はそれほど気にしなくても済みます。

少子化でお墓を維持するのも難しくなってきましたので高齢者の考え方も大きく変わってきていますのでお墓を片付けて散骨するのであれば今がチャンスなのかもしれません。

自分で散骨する方法