散骨業者になるにはどうしたらよいか?
散骨業者に資格は必要か?
散骨は陸地と海洋の2種類がありますが、現在、海洋散骨が主流ですので、それを踏まえてお話させていただきます。
結論から言うと「必要無し」です。各種協会などが独自のガイドラインを示して資格の提供を行っていますが、国家資格ではなく民間資格ですので取得する義務はありません。ただし、2021年3月に厚生労働省が散骨事業者向けのガイドラインを発表しました。ガイドラインですので法的拘束力はありませんが、ある程度この内容に従う必要があります。
実績が無いとどうしても「箔付け」のために何か資格を取得してアピールしたがる傾向にありますが、お客様の目線で見た時にその資格が決定打になって申し込むということもほとんど無いと思います。
某協会の発行したガイドラインを拝見させて頂きましたが、教本は散骨のルールやマナー、散骨に関する法律知識など、大変充実した内容なので、お時間と経済的余裕のある方は受講して資格を取得するのも基礎知識の習得という意味では悪くはないと思います。
こうした民間資格をなんとか国家資格に格上げしようと様々な利権団体が関係各者に働きかけているようですので長い目で見たら取得しておいた方が良いのかも知れません。
散骨業者になる為に必要なもの
散骨業者には主に「仲介」と「直受け」の2通りがあります
仲介とは散骨を直受けしている業者さんにお客様を紹介して仲介マージンを貰う方法です。主に葬儀会社などがこの方法で仲介料を得ていますが、仲介手数料を支払うためにお客様に提示する料金が大きくなってしまうため、あまり儲かっていないというのが現状のようです。
直受けとは自身でボートを手配し、お客様と直接やりとりを行う方法です。集客からアテンド、集金まで全て自分で行うので利益は大きいですが、その分時間と労力を要します。散骨業を始める方の多くはこの直受けから始める方がとても多いです。
個人と法人どちらが良いか?
散骨は「遺骨」という大切なものを取り扱いますので個人事業よりは法人の方が信用性が高く好ましいです。法人格も散骨を依頼されるお客様の年齢層は60代以上と高いので、「合同会社は小さい会社、株式会社は大きい会社」という発想が根強く残っているので、合同会社よりも株式会社であった方がより信用度が増すでしょう。お客様もしっかり見て依頼してます。
ボートを保有している場合
ご自身でボートを保有している方は直受け方式で散骨業を始める方がとても多いです。ホームページを作ったり、近所の葬儀会社と提携して散骨船長として活躍してます。散骨代行のみであれば船舶免許だけで済みますが、お客様を船に乗せて散骨のサポートをするとなると「内航不定期航路事業許可」の届け出や「遊漁船業務主任者」の講習などを受講修了しておく必要があります。
ボートを保有していない場合
ボートを保有している方と提携する場合は、依頼先の船長さんが船舶免許を取得しているかなど各種資格のチェックが必須です。
ご自身が船舶免許を保有しており、知り合いにボートを借りて散骨業を営もうとする場合は、船長であるあなたが各種届け出や講習をする必要があります。
ヤマハのSeaStyleなどのレンタルボートを借りて散骨代行などを行ってる方がいるみたいですが、SeaStyleの利用規約などでは個人・法人問わず商業利用は禁止されています(HPに記載はありませんが電話で確認済み2019/03/03)。マリーナでその行為が発見された場合は会員資格を失うだけでなく、依頼されているお客様にも迷惑がかかりますので絶対に行わないようお願いいたします。
粉骨はどうするか?
散骨において粉骨(遺骨を2mm以下の粉末状にすること)は必須です。ご自身で粉骨設備を整えて請け負う方もいらっしゃいますが、最低でも設備投資に100万以上はかかりますし、処理施設との契約、高い専門技術などを習得するのはとても大変です。粉骨については専門の業者などに委託された方が良いでしょう。
まごころ粉骨®ではこうした散骨業者向けの委託粉骨も請け負っています。最初に「業務委託契約書」を取り交わしておけば、わざわざお客様に粉骨申込書を書いてもらわなくても業者名で申し込むことができるようになります。2019年3月より六価クロム除去にも対応しましたので各種協会のガイドラインにも準拠した粉骨処理が可能です。
集客方法はどうするのか?
現在の集客方法のメインはインターネットです。ホームページを開設してヤフーやGoogleに広告を掲載してもらって集客します。実際にご覧になってもらうと理解しやすいと思いますが、様々な散骨業者さんが乱立しており広告合戦のようなありさまです。多い会社は毎月100万円単位で広告費を使って集客しているようです。
中には広告費を削ろうとWEBマーケティングの会社にSEO委託してる会社もありますが思うように効果を出せずイライラしている会社も多いです。
もしくは地元の葬儀会社と提携して散骨希望者を紹介してもらうという方法があります。こちらは交渉が大変ですが、順調にいけば安定収益が望めます。
開業して1年以内に廃業する人が多い理由
実際のところ、開業までいけばいい方で、多くの方は開業前で挫折しています。「お金をかけずに始めてみよう」と思ってる方が多いようですが、何だかんだと設備投資や準備をすると数百万が飛び、さらに開業後は広告合戦で毎月何十万も飛んでいくという・・・これが事実です。
開業までできた方の多くは比較的多くの資本で始めた方が多く、外注に頼みまくって無理矢理開業にこじつけたけど、数ヶ月後には集客できなくて敗退・・・という流れが本当に多いです。それでも続けている方の中には意地になって広告費をつぎ込んでる方がいますが、その割には集客できずに相当苦しい状況に陥っていると思われます。
テレビなどで散骨業を知って「これだ!」なんて思って始める方がほとんどなのですが、実際は小さなレストランを開業するくらいお金と労力を要しますので甘くはない世界なのです。
最近では某企業が今後の散骨事業を見込んで既存散骨サポート会社を買収しましたが、天候と激しい競争に勝てずに何千万という大赤字に陥ってしまったと発表してました。
また、コロナ禍で船上イベントを生業にしていた会社が散骨事業に進出してきてダンピング合戦のようになっており、船会社同士で潰し合いが行われているような状況ですので益々厳しい状況になっています。
まとめ
以外に小さい市場規模
散骨業者を目指そうと思っている方々は、「不況でも亡くなる人は多いし、お墓は売れないからこれからは散骨の時代だな!」と思ってる方も多いと思います。
実際のところ、地方では先祖の墓に入れたり、都心部ではお寺の永代供養に出したりする方の方が多く、市場規模はそれほど大きくないのです。
その割には散骨業者の数が多く、低価格合戦のような状態になっているため、商売としてはほとんど儲からずに撤退してゆく方が多いのが実情です。
定年後の社会貢献を兼ねたボランティアとかであれば良いと思います。
それでも散骨業を営みたいのであれば、まずはボートをご自身で用意するところから始めた方がいいでしょう。実情は、天候に左右されることやライバル会社の数からして、思っているほど受託件数は望めません(月に2~3回出航できれば良い方だと思います)。
そんな中で利益を出していこうと思えば1回あたりの利益率を上げる必要がありますが、受託の度にいちいちチャーターしていたら価格競争にも勝てませんし、高い利益率も確保できません。これから散骨業を始めるのであれば、自分で船を持っており、ローンも無い方が最低条件でしょう。
そのうえで準備が整ったら、自社で簡単なホームページを作り、散骨@マガジンなど、無料でも集客力のあるサイトに散骨業者登録をしてお客さんを獲得する・・・こんな流れが最適ではないかなと思います。
実力の無いWEBマーケの会社と組むなら弊社と組んだ方がお得ですよ♪
かなり正直に書かせていただきましたので参考になれば幸いです。