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樹木葬と散骨の違い、自然葬とは?

本来の樹木葬とは自然回帰

新芽

「樹木葬」と聞くと、霊園などでシンボルツリーの周りに小さな区画で区切った石のプレートを置いて、その下に遺骨を埋蔵するタイプの樹木葬をイメージすると思いますが、本来の樹木葬は自然の木々の根元に遺骨や遺灰を撒くことを樹木葬と呼んでいました。この時点でお気づきになった方もいらっしゃると思いますが、前者は墓石が樹木になっただけの埋蔵で、後者は散骨になります。樹木葬とは自然葬の一種なのです。

本来の樹木葬は遺骨を自然に還すことを目的としています。遺骨(焼骨)の成分はリン酸カルシウムなので植物にとっては貴重な栄養源であり、実は最も理にかなった自然サイクルでもあります。

花咲かじいさん

生物学的な余談ですが、カルシウム自体は水に溶解することはありませんので恒久的に土中に残ります。遺灰は弱アルカリ性なので酸性土壌を中和させ、植物が生長しやすい土壌を整えます(畑に石灰を撒くのと同じです)。また、植物の三大栄養素であるリンは数ヶ月で植物に吸収されると言われています。

このように、本来の樹木葬とは100%自然葬なのです。

自然に還れない現代の樹木葬

紛らわしいのがこちらの樹木葬で、近年になって霊園業者が大きな墓石の代わりに石のプレートを置いて埋蔵できる場所を設け「樹木葬」と呼び出したのがこのタイプです。霊園業界の宣伝力は凄いので「勝てば官軍」状態で、こちらの方が一般化してしまいました。

樹木葬と石版プレート

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、樹木葬なのに石のプレートだらけだと思いませんか?せめて遺骨の上に1本づつ樹木が植えられていれば自然回帰できそうな気がしますが、石のプレートでは半永久的に回帰しなさそうです。ましてやその下が塩ビパイプだったら尚更です。

石版の理由は簡単で、霊園のほとんどが石材店経営だからです。とにかく「石」を使って欲しいし、石を使うことで樹木を植えるより高額で販売できます。

とは言え「樹木葬」と呼んでいるわけですから何らかの植物を植えておかないとまずいわけで、その為にシンボルツリー等があります。

これが本来の「自然回帰を目指す自然葬としての樹木葬か?」と聞かれると首を傾げるしかありませんが、石版がズラーと並んでる光景は美しいですし、参拝にこられた方々の気持ちを考えるとこういうのもありなのかな?とは思います。

 

遺骨は粉末状にしないと土に還るのに2~300年くらいかかる?

散骨の専門家として少し問題視しているのが遺骨の埋蔵方法です。墓地型樹木葬の埋蔵方法を見ると、①骨壺のまま埋蔵、②麻や布袋に入れて埋蔵、③遺骨のまま直接埋蔵と大きく3種類くらいあるようですが、いづれも遺骨を粉状に粉骨していない状態で埋蔵しています。

火葬後の遺骨は「焼骨」ですので、とても「もろい」状態ではありますが、土中という動きの少ない中では粉々になることができず、長い年月その形状を維持します。焼骨にはほとんど栄養が無いことからバクテリア分解も進みません。

粉骨専業のまごころ粉骨®の経験談によると、「墓じまい時に出てきた100年前に土中埋蔵された遺骨であっても原型を留めており、ほとんど分解されていないことに逆に驚いた」と述べていました。

それほど土中での分解は遅いので、意図的に粉骨などしないと短期間で自然回帰をすることはありません。

霊園などが永代供養墓として「土に還ります」と販売していた場合、権利期間の20年や30年では間違いなく土に還らないのですから、その後埋蔵された遺骨はどうするのか疑問で仕方がないです。

粉骨して埋蔵できる樹木葬もあります

現在、東京都の小平霊園や多摩霊園の「樹林墓地」、千葉市の樹木葬などは遺骨を粉骨して埋蔵するタイプの合資墓です。

土にダイレクトではなく、コンクリートでできた円筒形の合資墓になりますので土に還ることはできませんが、自治体運営ということで安心度は100%です。

ご利用になるには居住3年以上などの制限がありますが、今後このような粉骨型樹木葬を採用する自治体が増加すると思われますので、一度、ご自身のお住まいエリアでも予定がないか調べてみるとよいかもしれません。

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